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日本補完代替医療学会シンポジウム「がんの補完代替医療」

2007年07月10日

7/5 日本補完代替医療学会シンポジウム「がんの補完代替医療」が開催されました。

日本補完代替医療シンポジウム 会場の様子

 医療関係者、患者、消費者ら総数約600名を集めて同シンポジウムは開催されました。国を挙げてがんに取り組んでいくことを掲げた「がん対策基本法」が制定されましたが、日本のがん予防研究は欧米に比べて著しく立ち遅れているといわれています。社会の高齢化と罹患者の増大が続く中で、健康食品などの代替医療を利用して如何にがんから身を守るかという予防医学の意義と可能性が論議されました。

注目されるがんの化学予防・健康食品への期待

 「社会の高齢化の中で、いかにがんを予防していくかという観点から、がんの化学予防という考え方が注目されています。健康食品・サプリメントの標準的な考え方を広く示すことが急務と考え、このシンポジウムを企画した」シンポジウム冒頭の挨拶で、日本補完代替医療学会の鈴木信孝理事長(金沢大学補完代替医療講座教授)はこう話しました。がんの化学予防とは、発がんを予防したり、進行を遅延させるために、薬理学的、生物学的、栄養学的な介入を行うこと。なかでも健康食品・サプリメントの役割が期待されていますが、それらの大半はまだ科学的な検証が行われていません。とくにその安全性が問われる場面にしばしば直面します。

日本補完代替医療シンポジウム 会場の様子

一方、米国国立がん研究所(NCI)予防部ではラピッドプログラムと呼ばれるがんの予防剤の開発研究が進んでいます。これまでの抗がん医薬品は、有効な単一成分を見つけ出して利用するものでした。このプログラムでは複合化合物の成分が不明であっても、有効性と安全性が確認されていればそのままがん予防剤として採用しようという試みで、これをボタニカルドラッグ(植物性医薬品)と呼びます。そうした米国の大きな動きについても、鈴木理事長は熱をこめて話しました。なお、この集会は本年11月に九州大学を会場に行われる日本補完代医療学会学術集会のサテライト(衛星)シンポジウムとして開催されました。

サプリメントの科学的検証と安全性の評価」基調講演

 最初にわが国のがん患者によるサプリメント利用の実態を報告しています。
2001年に厚生労働省がん研究助成金による研究班「我が国におけるがんの代替医療に関する研究」が組織され、全国規模で3100名の患者を対象に、補完代替医療の利用実態調査が行われました。結果が2006年に学術論文として報告され、がん患者の44.6%(1382名)が、一種類以上の代替療法を利用していることが明らかになっています。
利用されている代替療法の種類としては、健康食品・サプリメント(漢方・ビタミンを含む)が96.2%と群を抜いて多い。品目別で使用頻度が多いのはアガリクス(60.6%)、プロポリス(28.88%)、きのこ複合体のAHCC(7.4%)。このほか市販漢方薬(7.1%)、鍼、アロマテラピーなども入っていました。

 2006年、住吉部長らは金沢大学補完代替医療学講座の大野智特任准教授らとともに厚労省がん研究助成金により『がんの補完代替医療ガイドブック』という小冊子を作成し、医療者や患者の間で大きな話題となりました。がん患者によく利用されている5種類のサプリメントについて、国内外の科学論文を検索して、科学的根拠が認められているかどうかを調べて報告したものでした。その「まとめ」では、「直接的な治療効果(がんの縮小、延命効果など)を証明するような報告はほとんどありませんでした」とされています。もちろん「治療効果を証明する報告はない」ということは「治療効果が無い」ということではありません。

 住吉部長はガイドブックの経験から「サプリメントに関する情報はあふれていますが、利用者が信頼できるものはそう多くない」と話しました。これまでたとえ有効性を主張するデータが示されていたとしても、ほとんどが試験管の中などで行われた基礎実験や動物実験によるものであす。結果は人にそのまま通用するものではなく、「人間を対象にした臨床で検証してはじめて信頼出来るものになる」としています。
食品メーカーでずさんな品質管理や材料の偽装、違法な食品添加物の使用など、食品の安全性の問題が注目されています。人々の健康増進効果が期待されているサプリメント・健康食品においては、何よりもまず安全性が重視されなければならないはずです。

 そうした中で、昨年2月13日厚生労働省が、アガリクス抽出物を用いたあるサプリメント商品に発がん促進作用が判明したと発表するできごとがあった。3社の商品を調べたうちの1社だけのもので、他の2社の商品には有害性は見つかっていません。この件について住吉部長は言及しました。
「発がん促進が報告されたといっても動物実験でのことであり、人間が食べてがんが促進されるということにはけっしてならない。それなのに、『アガリクスに発がん性がある』といったことがセンセーショナルに報道された。マスコミも科学的に整理してものごとを伝える訓練ができていない。厚生労働省のホームページに、この件について風評被害が出ないよう正確な理解を求める記述がある」

 そして、住吉部長は健康食品・サプリメントの安全性のキーワードは、企業側の「品質管理」、消費者の自己責任としての「適正な摂食量」、さらに主治医としっかり相談すべき問題である「薬剤との相互作用」を挙げています。

日本発の化学予防素材としてアガリクス茸抽出物「1SY-16」に期待!
特別講演「ラピッドプログラムによるがん予防剤研究開発」

 NCIが2000年にスタートさせた「ラピッドプログラム」は、世界の様々な素材の中からがんの化学予防剤として有望なものを見出し、安全性や有効性を確認した上で迅速な臨床応用に進めていこうという計画です。NCIの100%の予算のもとでまかなわれます。もちろんNCIの厳しいチェックを通して、がん予防効果という点で信頼性の高い素材や提案のみが研究テーマとして選ばれます。世界中から毎年数百以上の提案書が寄せられていますが、採択される数は年間ゼロから最高でも6テーマ。現段階では計33テーマにとどまっています。

 「現在はがんの症状がなくても、家族因子、遺伝因子、環境因子で将来発がんのリスクが高い人たちがいます。がんを発症してしまうと侵襲を伴う治療しかないが、がんにかかっていない人たちが利用する素材は安全性のハードルを高くする必要がある」
博士はがん予防剤開発の基本姿勢をこう話しました。
 ラピッドプログラムに採択されているものの中には日本から採用された素材も含まれている。たとえば、金沢大学薬学部の太田富久教授らによるアガリクス茸の低分子成分ABMK-22から抽出した「1SY-16」です。

食品に秘められた抗がん性に期待

 ラピッドプログラムは、必ずしも化学成分がわかっていなくとも、安全で有効なものはボタニカルドラッグという医薬品として積極的に利用していくという計画です。キャペタノヴィッチ博士は、ラピッドプログラムの中でボタニカルドラッグの候補として、とくに有望な素材の例を通じてアガリクス茸抽出物である低分子分画「1SY-16」について期待を込めて語りました。

 アガリクス茸の抽出成分である低分子の「1SY-16」は、動物実験から免疫調節や細胞増殖を抑えるなど、がん予防効果があることが示され、また毒性がなく安全であることがわかりました。新薬治験許可が米国で申請される見通しだという。
 「米国政府はこれまでのダイエッタリーサプリメントよりも、ボタニカルドラッグを推奨する方向にある。薬から食品は作れないけれど、食品から薬は作ることができる」キャペタノヴィッチ博士は、我々の周りにある食品が秘めている抗がん物質の発掘について、このように期待を述べました。

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